七夕
七夕の夜、隣の隣の市までコーヒーを飲みに行きました。
昼間こそ晴れていましたが夜になると星も見えず雨も降り出しそうです。
この日はさらに満月だったので、なおさら曇天が惜しまれました。
時間の問題なのか曜日の問題なのか、今回も完全貸切状態で長居してしまいました。
BGMのJAZZの透き間すきまに虫の音が鈴のように聞こえ、
高い天井のシーリングファンはゆるゆると回っています。
各テーブルに生けられた野アザミは慎ましげなピンク色で、
花器の青いガラスの瓶に映えて愛らしいものでした。
窓に浮かぶ庭のふんわりとした明かりは、今夜見れなかった月の代わりのようです。
もうワシがいなかったら完璧な空間よのうなどと思いながら、
ウインナーコーヒーを楽しんでいました。
そしてここで読んだこのときのサライの最新号で
CDのレビューのページ、「聴く」を担当されてらした黒田恭一(75)さんが
5月下旬逝去されていたのを知りました。
葬儀で配られたご本人からのメッセージには
両親、奥様、弟妹、友人、そして音楽への感謝が綴られていました。
この方のCDレビューを参考にプレゼント用のCDを何度が購入したことがありましたし、
なによりものを評するのに陥りがちな、無闇な知識のひけらかしと根拠のない批判が
まったくない文章で、誠実で聡明、謙虚なお人柄が窺い知れる素敵なレビューでした。
ご冥福をお祈りしつつ、黒田さんが最後に紹介されたビル・エヴァンスを聴きながら
家路に着きました。
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