爽やかな日曜です。
降り注ぐ太陽です。
ヘイ!ヘイ!ヘイ!!(←ここでもうテンションMAX)
それは美しい日です。
掃除、洗濯、常備菜作りも終え、
布団たたきを持つたびに
「秘剣!流れ星!!」
と虎眼先生の真似をするのも飽きてきました。
祖父の顔も拝んだし、気になるあのお店に行こうかしら。
そうね、ドライブ最近してないし。
古人曰く、
「詩想は騎驢にあり」
というわけで道に迷ってきました。そらもう存分に。
ダンテの神曲か!と車の中で叫ぶほどの盛りのいい迷いっぷりでございましたよ。
市内を端から端まで横断することになった今回のドライブは
片道1時間強、良い思索の時間になりました。
…強がらせてくれい。
祖父宅を出る前に先方に電話を入れたのですが、
出てくださったのが妙なる美声のマダム。
これは行かねば。
私の中の野性が素敵マダムとの邂逅を知らせてくれます。
しかし山の道というのは難しい。
触覚を抜かれた虫のようにフラフラしてしまいました。
この自失状態は海沿いだとありません。
海は落ち着く。
何かが減っていくような。
山は何かが増える。
どちらも気分のいいものです。
珍しい木とか見つけると、そっち行っちゃうしね。
もうホント虫ですわ。
私の五分の魂は素敵マダムカフェを求めて、無事着くことが出来ました。
途中途中の看板がなかったら本当に辿りつけなかった。
こちらは自宅の一室、オーディオルームを開放したカフェなのですが、
まず玄関にびっくり。
10畳はあります。
そこに設えられた花がとてもセンスがいいのです。
鬼百合のオレンジが映える、山野の緑をふんだんに使った
高さ1m近くの大作でした。
お部屋もとても居心地のいいところで、
大きなUBLのスピーカーとご主人手製のアンプ、
やはり奥様が活けたであろう、興趣をそそられるお花に目を奪われました。
高い天井の梁は地元産の杉の木とのことで、
テーブル、椅子の木材だけでも眼福ものです。
出していただいたコーヒーの器もどちらかの作家物らしく、
手に馴染む土ものでした。
聞けばご主人は大変な趣味人らしく、定年後こちらの山中で
JAZZを楽しむことを何よりとされているそうです。
とても気さくな方でお話も楽しく、
なによりお選びになる音楽も趣味のよいものばかりでした。
ご主人が席を立たれて、山に向かわれた後
奥様がお相手してくださったのですが、その美声は合唱で鍛えたものだそうで
10年以上昔、隣の市で行われた合唱祭では
どうもご一緒したらしいということが判明。
これだけならご縁がございますねで終わっていたのですが、
なんと出身地が同じで、娘さんと私の名前が同名だということで
とても親しくお話してくださいました。
奥様があちらに住んでいらした頃、ご近所に国際的に活躍していた女優がいて、
公園で○○、○○と娘の名前を呼ぶのがたいそう愛らしく聞こえたそうで
自分の子にも是非付けたいと思っていたそうです。
私自身の名前の由来はわからないのですが、
美しい女性がつけた名前と同じと思うと贅沢な気分になれました。
えへへ。単純。
その後、湖面のような静かな目の黒い犬と遊んで、
コーヒー一杯とクッキー2枚で2時間も長居してしまいました。ひー。
いくら居心地がよくても人んちでそれはいけんので、
後日鬼百合のシルクスクリーンが入った葉書でお礼を書きました。
小原流を嗜む奥様が活けた、玄関の鬼百合ほどのセンスはありませんが
喜んでいただけて何よりでした。
花下に半日客すとはこのことよなぁと
思いながら帰路についたのですが、
途中お察しの通り、道に迷いました。
こ慣れたものです。
何故知らない道に平気の平左で入るのか。
迷い込んだ先は青々とした苗がたなびく田がありました。
あぜ道まで驚くほど整えられていて、
精神の豊かさを感じさせるものでした。
田んぼも好きなもののひとつですが、
まだ植えたばかりの、水面に青空が映りこむのもいいですし、
日本書紀だったか、古事記だったかの
「倭の国のまほろば~」を思い出す、
金色の稲穂の波も好き。
真秀(まほ)な場所、つまり素晴らしい場所という言葉がぴったりです。
倭しうるはし。
あと、ごはんっておいしいしね!
大好きだ!
ようやく知っている道にでて、産直販売所でトマトをかって帰りました。
ビュウティフル・サンデイ。
よい一日でした。
花下に半日客す…僅か半日の知り合いでも、前世に因縁が浅くなかった
という例え。
虎眼先生…マンガ「シグルイ」で強い人。強い喃。「シグルイ」「バキ」「闇金ウシジマくん」は
女の子が読んでいるとひかれるマンガの代表だそうです。
フッフフ。存分にひいていただこうか。
あ、1時だ。寝る。