2011年01月04日
たった独りの引き揚げ隊
「たった独りの引き揚げ隊 -10歳の少年、満州1000キロを征く- 」 石村博子 読了
去年一番人に勧めた本です。
サンボの生ける神と言われるビクトル古賀さんの満洲からの引き揚げの体験談。
サンボというのはロシアの格闘技で、その成り立ちにはあの広瀬武夫の影響もあったと言われています。
ビクトル氏は41戦すべて一本勝ちという偉業と成し遂げ
ソ連からは数多の賞を授与し、その名は遠く旧東欧圏まで響き渡り、
後進も多く育ててらっしゃいます。
ですが彼は自分の人生で輝いていたのは10歳、11歳の頃だと言います。
日露ハーフのビーチャ(ビクトル君の愛称。これがあるからロシア文学は辛い)は
コサック最後の子どもとして祖父からコサックの教育を受けます。
世界最強と言われたコサック近衛騎兵の一族の長である祖父からの薫陶と自然、
そして丈夫な体と信仰心が彼を満洲から日本まで導いてくれたました。
時に日本人から露助の子どもと言われ、引き揚げ隊から爪弾きにされても
途中途中に横たわる死体に十字を切り、虫が湧くのを少しでも遅らせるようにうつぶせに寝かしてやり
その遺体から靴を拝借して、太陽の位置を頼りに一人ひたすら道を進みます。
ざっくり書くと10歳の男の子の身に降りかかるには
あまりに酷な運命で胸が潰されそうですが、
これは読むと印象がまるで違うんですよ。
ビーチャの命の力の強さが暗さを一掃します。
ビクトル氏の語り口も軽やかで悲壮感がなく冒険譚のようです。
ばてると落ち込み、落ち込むと生命力が弱る事を分かっているビーチャは
たくさんのロシアの歌を歌いながら陽気に荒野を歩きます。
本の中で紹介されているコサックの子守歌は後にアメリカのフォークシンガー、ピート・シーガーが
「花はどこへ行った」のタイトルで歌い、世界中に広まったそうです。
水場を探し、野宿の際は天候と急激な温度差に気をつけ、馬糞や草で虫を除け
一路日本を目指すビーチャに空腹で苦しんだ記憶はありません。
「流れる星は生きている」をはじめ、引き揚げに関する本の中で
これほど特異なことがあるでしょうか。
そのうち調達できるはずという自信と気楽さをビーチャは持っていました。
食べ物を自分で調達できる人間というのは本当に頼もしい。
ビーチャの冒険もですが、コサックの歴史とその終焉を知るのにおいても良書と言えます。
私に子どもが出来たらこの本を読ませてあげたいなぁ。
で、もうちょっと大きくなったら「銃・病原菌・鉄」を渡しとくか。
あれ?まるで予定はないのに想像したらえらい楽しいじゃなイカ!!
(そのうちゲソゲソ言い出すんだわ、私の子どもなら…)
何回読み返したかわかりませんが、読むたびに腹筋の回数が増えます。
今夜も寝る前にざっと読むか。
私も「太陽が一個、ナイフが一本。それさえあれば、生きて、歩ける」と言えるぐらいの
身体と心と知識を持てるように生きていきたいです。
あと、生きていくのにやはりそう物はいらんな!!と
…いかん。またビョーキが。
只今のBGMは Led Zeppelin の「移民の歌」
あ、今マイケル・ナイマンの「ピアノレッスン」になった。
今年のニューイヤーオペラコンサートは最初の方逃したのでパスしちゃった。
年末の第九は聴けたからよしとするか。
去年一番人に勧めた本です。
サンボの生ける神と言われるビクトル古賀さんの満洲からの引き揚げの体験談。
サンボというのはロシアの格闘技で、その成り立ちにはあの広瀬武夫の影響もあったと言われています。
ビクトル氏は41戦すべて一本勝ちという偉業と成し遂げ
ソ連からは数多の賞を授与し、その名は遠く旧東欧圏まで響き渡り、
後進も多く育ててらっしゃいます。
ですが彼は自分の人生で輝いていたのは10歳、11歳の頃だと言います。
日露ハーフのビーチャ(ビクトル君の愛称。これがあるからロシア文学は辛い)は
コサック最後の子どもとして祖父からコサックの教育を受けます。
世界最強と言われたコサック近衛騎兵の一族の長である祖父からの薫陶と自然、
そして丈夫な体と信仰心が彼を満洲から日本まで導いてくれたました。
時に日本人から露助の子どもと言われ、引き揚げ隊から爪弾きにされても
途中途中に横たわる死体に十字を切り、虫が湧くのを少しでも遅らせるようにうつぶせに寝かしてやり
その遺体から靴を拝借して、太陽の位置を頼りに一人ひたすら道を進みます。
ざっくり書くと10歳の男の子の身に降りかかるには
あまりに酷な運命で胸が潰されそうですが、
これは読むと印象がまるで違うんですよ。
ビーチャの命の力の強さが暗さを一掃します。
ビクトル氏の語り口も軽やかで悲壮感がなく冒険譚のようです。
ばてると落ち込み、落ち込むと生命力が弱る事を分かっているビーチャは
たくさんのロシアの歌を歌いながら陽気に荒野を歩きます。
本の中で紹介されているコサックの子守歌は後にアメリカのフォークシンガー、ピート・シーガーが
「花はどこへ行った」のタイトルで歌い、世界中に広まったそうです。
水場を探し、野宿の際は天候と急激な温度差に気をつけ、馬糞や草で虫を除け
一路日本を目指すビーチャに空腹で苦しんだ記憶はありません。
「流れる星は生きている」をはじめ、引き揚げに関する本の中で
これほど特異なことがあるでしょうか。
そのうち調達できるはずという自信と気楽さをビーチャは持っていました。
食べ物を自分で調達できる人間というのは本当に頼もしい。
ビーチャの冒険もですが、コサックの歴史とその終焉を知るのにおいても良書と言えます。
私に子どもが出来たらこの本を読ませてあげたいなぁ。
で、もうちょっと大きくなったら「銃・病原菌・鉄」を渡しとくか。
あれ?まるで予定はないのに想像したらえらい楽しいじゃなイカ!!
(そのうちゲソゲソ言い出すんだわ、私の子どもなら…)
何回読み返したかわかりませんが、読むたびに腹筋の回数が増えます。
今夜も寝る前にざっと読むか。
私も「太陽が一個、ナイフが一本。それさえあれば、生きて、歩ける」と言えるぐらいの
身体と心と知識を持てるように生きていきたいです。
あと、生きていくのにやはりそう物はいらんな!!と
…いかん。またビョーキが。
只今のBGMは Led Zeppelin の「移民の歌」
あ、今マイケル・ナイマンの「ピアノレッスン」になった。
今年のニューイヤーオペラコンサートは最初の方逃したのでパスしちゃった。
年末の第九は聴けたからよしとするか。