2008年12月19日

孤児たちの城

「孤児たちの城」 高山文彦著 読了

先々号あたりのSAPIOでも紹介されていたので、
お読みになられた方もいらっしゃるのではないのではないのでしょうか。

1920年代、パリでレビューの女王として成功した黒人女性ジョセフィン・ベーカーが、孤児たち12人と
「虹の部族」と言う名の疑似家族をつくり古城で暮らします。
世界各地の孤児たちの肌の色が「虹」というわけですが、
その家族の長男として生きた、日本人の少年「アキオ」に著者はインタビューをし続けます。

見世物小屋のように城での生活を公開し、子ども一人につき一つの民族や宗教を押し付け、
分かりやすく都合のいい演出をしていたジョセフィン。
事実アキオも朝鮮人として育てられていました。

彼女は聖母だったのか、それとも12人もの人間のアイデンティティを奪った悪人だったのか。

著者は孤児たちを訪ねる旅の中で、ジョセフィンへの怒りを露にしていきます。
その著者に最後にアキオが言った言葉とは。

アメリカで差別を受け続けた彼女が辿りついた差別の解決方法は
あまりに楽観的なものでした。
それがひどく悲しくさせます。


ちなみにアキオは、以前ここでも書いた「下山事件」にも出ていた孤児院、
「エリザベス・サンダース・ホーム」から引き取られてきました。

ちょっと忘れてしまいましたが、今年読んだ本でもう一冊この孤児院が出ました。
今年もよく読んだなぁ。
 





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Posted by あさ at 23:59│Comments(0)
 
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