2010年05月09日
鹿おいさんと貰い物
前述にもありますが、ここのところ終の住処を探して物件巡りをしています。
現政権への不信感がピーク(今がピークと思いたい)であることと、
単純に死に場の確保の為です。
賃貸じゃあオチオチ死んでもいられねぇやい。
資産価値下げちゃ申し訳ないですからね。
とはいえ、5月9日現在(なぜわざわざ日付を入れたかお察し下さいましね)の
現政権の口蹄疫の尋常ならざる対応を鑑みると
手元に動かせる現金を置いておいた方がいいかもとも思いますし、
少し悩んでおります。
とはいえ考えるだけに時間を使うのはもったいないので
地元のおもしろ物件を一手に扱う
不動産屋さんのナビゲートでぐるぐる市内を回っているところです。
何時電話をして、何方とお話ししても、とても感じのいい対応をしてもらっています。
とりわけ私の担当になって下さっている営業課長さんは
大変気さくでらして、親しくさせていただいております。
面と向かって言ったことはありませんが
私は心の中で氏のことを
「鹿おいさん」
と呼んでいます。
そのいきさつは2009年冬に遡りーー。
空気の冴えた冬の日です。
この日私は人生最期の寝床を探し、車の助手席で
凍れる枝が過ぎていく窓の外を眺めていました。
不動産屋さんの社用車で、片道30分以上かけて山の道を走ります。
おそらく地図をみたら等高線しか書いていない様なところでしょう。
眼下に流れる美しすぎる清流は、いかに人の手が入っていない土地なのかを教えてくれます。
「こんなに山深くて、私、通勤できるのか?」
内心思いつつも、念願の平屋がまさかの●●万という事実が
私の夢見がちっぷりに拍車をかけていました。
『そうよ、キャッシュで買えるんだし、
借金なしなら畑でもしながら静かに土に帰ることも出来るワ!
社会との接触面を最小にして、何も残さず、誰の記憶にも残らずに死ぬのが私の大望じゃない!
フッフフ。気が早いと言ってくれるな!
「葉隠」を紐解くまでもなく、死は常に身近にあるものさ。
「メメント・モリ、メメント・モリ」と召使いに言わせなくても
こちとら無常を知る文化に生きてんだっつの。
朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける、よ。
つか、方丈記を引き合いに出しといて、人生で一番の所有物であるところの
家を買うっておかしくね?
兎にも角にも
ドリームカムトゥルー!!
50年後くらいに家主が死んだらすぐ家も土に還るような
ミラクル新技術が開発されたらいいなぁ!
遠足地は来た時よりもきれいにして帰りましょう!
現世は永遠の輪廻の中の一瞬の遠足!
バナナはおやつですか? おやつはバナナですか?私はバナナですか?吉本隆明の新刊は出てま・・・』
ドーーーーーーーン!!
車体に不自然な振動と鈍い衝撃音。
何事かわからず車を止めてみると、運転席側の側面に鹿が突撃したようです。
当の鹿は、数メートルで後ろでフラフラしています。
私も驚きましたが、運転していた営業課長さんはなおさらだったようで
仔鹿ちゃんさながらにアワアワヒヨヒヨしていました。
そりゃアワアワもしますよ。
こんなに明るいうちから鹿が山から下りてきて、走っている車に接触するなんて。
とりあえずこの地域の振興局に電話しました。
(先ほどから田舎ワード頻出ですが、お街の方は読んでご理解いただけるのでしょうか)
すると山から「わんわん」と犬が、
後から「おうおう」と猟銃を抱えたおじさんが降りてきました。
ようやく合点。
彼らから逃れようと山を降りてきたところを、我々と接触したようです。
おじさんの軽トラに乗せられた鹿を遠く霞むまでただただ見送りました。
営業課長さんは思った以上に繊細な方だったようで、
まだかなり緊張が残ってらしたので、コーヒーを買ってきてしばらくその場にいました。
「ビックリしましたねー」なんていいながら、同調をはかっていたのですが、
匙加減はあんなものだったのだろうかと考えるも、今でもわかりません。
自分の肝の据わり方は他人を傷つけかねないなぁというのを昨年末から考えていたので。
結構な案件のような気がするのです。
ようやく運転も再開できるようになって、さらに深山を進み目的地に到着しました。
営業課長さんはそれからは本領を発揮されて、色々説明して下さいました。
もうこの時点でお顔まで鹿に似ているような気がしてきましたが、
大変仕事の出来る方のようです。
『年長の方に向かって、仔鹿っぽいなんて思ってごめんなさい~』
心の中で平謝りしながら室内外を見て回りました。
結局この物件に決めることはなかったのですが、いつの間にか売れていたようです。
ちなみに●●万円という価格は、いわくつき物件などではなく、
その集落の物件の平均価格だそうです。
根性なしの私は通勤とお手洗いの構造(アレですよ・・・)で逃げてしまいましたが、
おばあさんが住んでいらしたそうで、和室はとてもきれいに使われていました。
その後しばらくバタバタしていてご無沙汰していたのですが、
先日これぞという物件を紹介してもらいました。
その道すがら
「もうここに住みよ。ここに決めたらお祝いに鹿肉持ってくわぁ」
と言われました。
おっさん、あんた懲りてねぇな!!
もうこの時点でこれくらいフランクな話し方をされるくらい仲良しになっていたので
こちらも遠慮なく脳内あだ名は「鹿おいさん」とさせてもらいました。
案内してもらった物件はこちらも老婦人が一人でお住まいで、
彼女も物件を探しているそうです。
いくつもお家をお持ちのようですが、お車をお持ちでないそうで
より便利なところをお望みとのことでした。
またも理想の平屋建て。
鹿おいさんが有能過ぎて眩しいわ!!
ここでまたも始まる陀羅尼ばりの脳内妄言。
『ここは書斎で、ここが寝室で、私の持ち物数ならタンスだのの家具は一切置かずにイケルから
リビングに一人掛け用のソファだけ置いて、ここで毎晩飲みながら本読んで、
好きな水拭きもしやすいようにラグの類も敷かないで
こざっぱり生活するの・・・!!
素敵生活なの・・・!!』
完全独走状態の妄想をキープしつつ庭をみれば、手頃な大きさの畑があります。
『ご機嫌伺いにまず豆を植えて、最終的におみおつけの実と漬け物の材料は
全部ここで作れるようにするの・・・!!
週末には七輪出してビール飲みながら豆炊いたり、鹿肉ジワジワ焼いたりするの・・・!!
またも素敵生活なの・・・!!!』
止めどなく湧く泉の如き妄想。
一人だったら牛並みに涎が出ていたと思います。
お住まいのご婦人もとても穏やかな方で、人柄が家の使い方に表れているようでした。
帰りにご自身でお作りになったという無農薬のレモンやミカンを頂いて帰りました。
不動産屋さんに戻ると、別件で出勤してらした社長さん(この人もかんじのいい人だった)も
ご一緒くださってリフォームの見積依頼をした後、宮崎の帰りということで
マンゴーのお菓子を頂戴しました。
帰宅後、頂いたレモンでジャムを作りました。
皮を刻んでいるあたりから台所中、爽やかな香りが立ち込めます。
煮ている間にお礼状を書いて、間取り図を見ながらニヤニヤしてから
知り合いの家に「テルマエ・ロマエ」を持って行きました。
ツイッターをしている彼女に
「うどんを食べたと呟くと、加ト吉から『いつもありがとうございます!』と来るのは本当ですか?」
と訊ねましたが、
「デマじゃない?」とのことでした。残念。
お暇しようとすると、「らぶやん」と「エクセル・サーガ」の最新刊と
キャベツを一玉持たせてくれました。
貰い物で生きているような気がします。
テルマエ・ロマエ・・・古代ローマの設計技師ルシウスが、風呂限定で現代日本にタイムスリップし
その高い文明を持ち帰るというマンガ。シャンプーハットという利器を前に
「軍事力で領地を拡げるのは簡単だ・・・ しかし文明は・・・文明はそうはいかぬ!!」
と打ちひしがれたりしている。
この人も日本に来る度なんかかんか食べ物飲み物を貰っている。
現政権への不信感がピーク(今がピークと思いたい)であることと、
単純に死に場の確保の為です。
賃貸じゃあオチオチ死んでもいられねぇやい。
資産価値下げちゃ申し訳ないですからね。
とはいえ、5月9日現在(なぜわざわざ日付を入れたかお察し下さいましね)の
現政権の口蹄疫の尋常ならざる対応を鑑みると
手元に動かせる現金を置いておいた方がいいかもとも思いますし、
少し悩んでおります。
とはいえ考えるだけに時間を使うのはもったいないので
地元のおもしろ物件を一手に扱う
不動産屋さんのナビゲートでぐるぐる市内を回っているところです。
何時電話をして、何方とお話ししても、とても感じのいい対応をしてもらっています。
とりわけ私の担当になって下さっている営業課長さんは
大変気さくでらして、親しくさせていただいております。
面と向かって言ったことはありませんが
私は心の中で氏のことを
「鹿おいさん」
と呼んでいます。
そのいきさつは2009年冬に遡りーー。
空気の冴えた冬の日です。
この日私は人生最期の寝床を探し、車の助手席で
凍れる枝が過ぎていく窓の外を眺めていました。
不動産屋さんの社用車で、片道30分以上かけて山の道を走ります。
おそらく地図をみたら等高線しか書いていない様なところでしょう。
眼下に流れる美しすぎる清流は、いかに人の手が入っていない土地なのかを教えてくれます。
「こんなに山深くて、私、通勤できるのか?」
内心思いつつも、念願の平屋がまさかの●●万という事実が
私の夢見がちっぷりに拍車をかけていました。
『そうよ、キャッシュで買えるんだし、
借金なしなら畑でもしながら静かに土に帰ることも出来るワ!
社会との接触面を最小にして、何も残さず、誰の記憶にも残らずに死ぬのが私の大望じゃない!
フッフフ。気が早いと言ってくれるな!
「葉隠」を紐解くまでもなく、死は常に身近にあるものさ。
「メメント・モリ、メメント・モリ」と召使いに言わせなくても
こちとら無常を知る文化に生きてんだっつの。
朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける、よ。
つか、方丈記を引き合いに出しといて、人生で一番の所有物であるところの
家を買うっておかしくね?
兎にも角にも
ドリームカムトゥルー!!
50年後くらいに家主が死んだらすぐ家も土に還るような
ミラクル新技術が開発されたらいいなぁ!
遠足地は来た時よりもきれいにして帰りましょう!
現世は永遠の輪廻の中の一瞬の遠足!
バナナはおやつですか? おやつはバナナですか?私はバナナですか?吉本隆明の新刊は出てま・・・』
ドーーーーーーーン!!
車体に不自然な振動と鈍い衝撃音。
何事かわからず車を止めてみると、運転席側の側面に鹿が突撃したようです。
当の鹿は、数メートルで後ろでフラフラしています。
私も驚きましたが、運転していた営業課長さんはなおさらだったようで
仔鹿ちゃんさながらにアワアワヒヨヒヨしていました。
そりゃアワアワもしますよ。
こんなに明るいうちから鹿が山から下りてきて、走っている車に接触するなんて。
とりあえずこの地域の振興局に電話しました。
(先ほどから田舎ワード頻出ですが、お街の方は読んでご理解いただけるのでしょうか)
すると山から「わんわん」と犬が、
後から「おうおう」と猟銃を抱えたおじさんが降りてきました。
ようやく合点。
彼らから逃れようと山を降りてきたところを、我々と接触したようです。
おじさんの軽トラに乗せられた鹿を遠く霞むまでただただ見送りました。
営業課長さんは思った以上に繊細な方だったようで、
まだかなり緊張が残ってらしたので、コーヒーを買ってきてしばらくその場にいました。
「ビックリしましたねー」なんていいながら、同調をはかっていたのですが、
匙加減はあんなものだったのだろうかと考えるも、今でもわかりません。
自分の肝の据わり方は他人を傷つけかねないなぁというのを昨年末から考えていたので。
結構な案件のような気がするのです。
ようやく運転も再開できるようになって、さらに深山を進み目的地に到着しました。
営業課長さんはそれからは本領を発揮されて、色々説明して下さいました。
もうこの時点でお顔まで鹿に似ているような気がしてきましたが、
大変仕事の出来る方のようです。
『年長の方に向かって、仔鹿っぽいなんて思ってごめんなさい~』
心の中で平謝りしながら室内外を見て回りました。
結局この物件に決めることはなかったのですが、いつの間にか売れていたようです。
ちなみに●●万円という価格は、いわくつき物件などではなく、
その集落の物件の平均価格だそうです。
根性なしの私は通勤とお手洗いの構造(アレですよ・・・)で逃げてしまいましたが、
おばあさんが住んでいらしたそうで、和室はとてもきれいに使われていました。
その後しばらくバタバタしていてご無沙汰していたのですが、
先日これぞという物件を紹介してもらいました。
その道すがら
「もうここに住みよ。ここに決めたらお祝いに鹿肉持ってくわぁ」
と言われました。
おっさん、あんた懲りてねぇな!!
もうこの時点でこれくらいフランクな話し方をされるくらい仲良しになっていたので
こちらも遠慮なく脳内あだ名は「鹿おいさん」とさせてもらいました。
案内してもらった物件はこちらも老婦人が一人でお住まいで、
彼女も物件を探しているそうです。
いくつもお家をお持ちのようですが、お車をお持ちでないそうで
より便利なところをお望みとのことでした。
またも理想の平屋建て。
鹿おいさんが有能過ぎて眩しいわ!!
ここでまたも始まる陀羅尼ばりの脳内妄言。
『ここは書斎で、ここが寝室で、私の持ち物数ならタンスだのの家具は一切置かずにイケルから
リビングに一人掛け用のソファだけ置いて、ここで毎晩飲みながら本読んで、
好きな水拭きもしやすいようにラグの類も敷かないで
こざっぱり生活するの・・・!!
素敵生活なの・・・!!』
完全独走状態の妄想をキープしつつ庭をみれば、手頃な大きさの畑があります。
『ご機嫌伺いにまず豆を植えて、最終的におみおつけの実と漬け物の材料は
全部ここで作れるようにするの・・・!!
週末には七輪出してビール飲みながら豆炊いたり、鹿肉ジワジワ焼いたりするの・・・!!
またも素敵生活なの・・・!!!』
止めどなく湧く泉の如き妄想。
一人だったら牛並みに涎が出ていたと思います。
お住まいのご婦人もとても穏やかな方で、人柄が家の使い方に表れているようでした。
帰りにご自身でお作りになったという無農薬のレモンやミカンを頂いて帰りました。
不動産屋さんに戻ると、別件で出勤してらした社長さん(この人もかんじのいい人だった)も
ご一緒くださってリフォームの見積依頼をした後、宮崎の帰りということで
マンゴーのお菓子を頂戴しました。
帰宅後、頂いたレモンでジャムを作りました。
皮を刻んでいるあたりから台所中、爽やかな香りが立ち込めます。
煮ている間にお礼状を書いて、間取り図を見ながらニヤニヤしてから
知り合いの家に「テルマエ・ロマエ」を持って行きました。
ツイッターをしている彼女に
「うどんを食べたと呟くと、加ト吉から『いつもありがとうございます!』と来るのは本当ですか?」
と訊ねましたが、
「デマじゃない?」とのことでした。残念。
お暇しようとすると、「らぶやん」と「エクセル・サーガ」の最新刊と
キャベツを一玉持たせてくれました。
貰い物で生きているような気がします。
テルマエ・ロマエ・・・古代ローマの設計技師ルシウスが、風呂限定で現代日本にタイムスリップし
その高い文明を持ち帰るというマンガ。シャンプーハットという利器を前に
「軍事力で領地を拡げるのは簡単だ・・・ しかし文明は・・・文明はそうはいかぬ!!」
と打ちひしがれたりしている。
この人も日本に来る度なんかかんか食べ物飲み物を貰っている。